枝と葉による斜面の段切り処理

2022.08.27

枝と葉による斜面の段切り処理

7月某日。長野市篠ノ井有旅のお菓子屋さん、ロンディネッラ様の外環境の整備において。

店舗の建設に伴い、店舗周りの地形を造成した際、斜面の処理が甘く、小崩壊が見られていました。

雨風によって土砂の流亡が予想されるため(というか小規模で既に始まっていた)、何かしらの対策を講じる必要がありました。

今回は施主様のご希望で、枝と葉による「枝がら(しがら)」の土留めを施すことにしました。

 

「枝がら」とは、「しがらみ」の元々の意味と同じで、枝同士のからみを利用した土留めです。

※「しがらみ」とは元々、川を堰き止めるために川底に杭を打ち、その間を竹などの植物でからめたものを言います。

弊社で行う枝がらも斜面に杭を打ち、その間に枝・葉をからめた単純な構造をしています。

ただ、枝がらそのものがずっと土留めとして機能するわけではありません。

枝がらに使う枝・葉は有機物ですから、設置してから3年くらいで分解されてしまいます。

なので枝がらは、枝・葉の有機物を材料とし、土壌微生物の力を使って地形を安定化させる方法なのです。

順序としては、まず崩壊をしているような箇所を段切りします。

段切りとは斜面を垂直に切ることです。地形というのは、斜面であることで必ず崩壊していきます。

なぜかというと、降った雨が斜面に沿って流れるからです。

段切りすることでまずは降った雨を水平面で受け止め、浸透させます。

大切なのは水を流さず浸透させることです。

 

段切りするだけでもある程度の効果はありますが、ここに枝がらを施すことで、さらに地形として安定させることが出来ます。

段切りした垂直面を枝と葉で保護します。

この時に弊社ではくん炭・竹炭を撒きます。これらを撒くことで微生物の棲家を提供し、より土壌微生物が生息しやすい環境にしてあげます。

これだけで枝がらは大体完了なのですが、将来的にこの枝がらがどう地形に関与していくのか説明します。

 

まず、段切りをしたことによって水平面から水が浸透し、垂直面から空気の出入りができるようになります。

水、空気の流れができることで土壌微生物が繁殖しやすく、植物の根を誘導しやすい環境になっていきます。

そこに枝がらの枝・葉があることで土壌微生物がより活発になり、土壌微生物の中でも土壌細菌が伸ばす菌糸によって土の粒子が固定されていきます。また、土壌微生物が生成する腐植によって土壌の団粒化も進むので、より植物の根が張るようになり、土を固定化させることになります。

このように、生き物の力を使って持続可能な地形の安定化を図るのが枝がら工法なのです。

 

それこそ人間の寿命を超えたレベルで見れば地形というのは水と風の力によって風化し、変化していきます。

しかし、人の短い人生で考えても枝がらであれば地形を安定させるのに十分だと言われています。

ただ、枝がらにもう少しプラスすることで更なる強化が可能です。

それは植物の存在です。

今回の現場であれば斜面の頂上に大きなアカマツが数本生えています。

このアカマツが枝がらのところに根を伸ばすことによって地形が安定していきますので、枝がらプラスアルファで地形の安定化が進みます。

木のない場所に関しては苗木を植えます。

植えるところが狭いので苗木しか植えられないというのもございますが、苗木の根が伸びていく過程で土も一緒に育っていくという狙いもあります。

やはり地形安定には植物の力は欠かすことができません。

昔は街道沿いや農業用水路の土の土手などにスギやケヤキを植えて保護をしていました。

神社仏閣も同様です。

地形だけでなく、土中環境の安定化にも寄与していました。

 

以上のように、崩壊していく斜面は生物の関与が少ない場所であり、崩壊を止め、地形安定化を図るには人の手による若干の地形修正、植物及び土壌微生物の存在が欠かせません。

平らな場所ではやる必要もありませんが、山手に住んでる人や、坂の地形に住んでる人は、斜面を抱えて生活していると思います。

斜面が崩れてきて安定しない場所はもちろんですが、雑草に覆われた場所や外来種が繁茂して荒れたところもこのような改善方法が有効です。

もし、そういったことでお悩みの方はお気軽に弊社までお問い合わせください。

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