2017.10.19
玉散らしの“玉”修正
先日ですね、初めてのお客様のところへ剪定でお邪魔させて頂いたのですが、
そこにあったチャボヒバについて少しお話させて頂きます。
そもそもチャボヒバはヒノキの園芸品種で、日本庭園なんかではよく見かける樹種です。
幹はまっすぐな場合が多く、枝は水平に伸びます。
萌芽力(芽が出る力)が強く、強い刈込にも耐えるため、玉散らしや段づくりなどに仕立てられることが多いです。
当お庭のチャボヒバも下の写真のように玉散らしに仕立ててありました。
【剪定前のチャボヒバ】
ちなみに、チャボヒバは古い枝からは目が出ないので、剪定後に枝だけにしてしまうと枯れてしまいます。
今ある緑色の目から新しい芽が出るので、刈り込みすぎには注意です。
少し話を戻し、上の写真について気になる点がいくつかあります。
写真のように一つ一つを球形に仕立てるのもいいのですが、基本的には下の図のように貝をさかさまにしたような形状に仕立たてます。
【玉散らしの例図】
また、球形のように下まで葉があると古い葉が中にたまり、蒸れて玉内に芽が出なくなってしまいます。
なのでまずは下の枝を切り取り、古い葉が下に落ちやすいように&貝づくりのように玉の下限をまっすぐに切り揃えます。
【玉の下枝取り】
上の写真を見てもらえれば除去前後が一目瞭然です。
枝の間から少し空が透けて見えるようになりました。
ここからチャボヒバの古い葉や枯れ枝を取り除いていきます。
古い葉は茶色をしているので分かりやすいです。また、落ちた葉は玉内部に溜まっていることが多いので、枝をゆすったり枝葉全体を掌で揉んで古い葉を落とします。
前の業者さんはこれを怠っていたようで、内部は下の写真のように、黒く堆肥化した古い葉が大量に積もっていました。
【玉内部】
前述したように、この黒く古くなった葉の残骸を取り除かなければ、玉内部が蒸れて芽は出ず、小さく刈り込めないため玉の大きさを維持できなくなってしまいます。
この古い葉除去を怠る庭師さんは比較的多く、肥大化してすごいことになっているチャボヒバをよく見かけます。
剪定はただ切り揃えるだけでなく、大きさを維持していくことも目的としてありますので、見えないところにも気を付ける必要があります。
さて、下を切り揃え、ごみを取り除いた玉ですが、下の写真のように見違えました。
【玉Before】
表面の刈り込みは今回は大鋏を使用しました。
本来であれば飛び出た芽を手で摘み、形を整えます。
なぜかというと、大鋏で切った葉の切り口が赤みを帯びてしまうからです。
しかし、手で摘むとなると時間がかかりすぎてしまうので、こだわりがなければ基本的に大鋏で剪定をさせてもらってます。
下から覗いてみました。
玉の下部に枝が残っているものと除去したものがはっきりとわかります。
【玉下部写真】
今回の場合や、玉が厚くなりすぎてしまっている場合は玉の下を切りそろえ、玉の厚みを調整しますが(下図中の①)、
下枝を切ったせいで、枝の足が長くなってしまうのは良くありません。
下の図の②の右図ように、枝から玉が上方向に離れていないことが玉散らしの上では大切です。
【下部切りそろえ時の注意】
玉の厚さを薄くしたいが、下を切れば枝の足が長くなってしまう…
ということもあるので、その場その場での判断も重要になります。
そんなこんなで、Before&Afterの写真になります。
【Before】
【After】
天気が悪くなってしまい、写真写りは悪いですが、かなり形も整ったと思います。
チャボヒバに限らず、大鋏を用いて形を整えることはさほど難しいことではありません。
練習をすれば上手くなります。
しかし、その樹木の特性や、今回のような古い葉を落とす等の知識については、
誰かに教えてもらうか、自分で勉強しなければ身に着けることはできません。
そういう点では経験だけで剪定をしてしまっている業者さんもいることは事実です。
しかし、仕事の出来栄えの良否を判断するのはお客様であり、良い業者さんかどうかを判断するには正しい情報と知識を持ち合わせている必要があります。
当ブログではそういったお客様のためにも、定期的に造園の知識や情報を載せていく予定ですので、参考にしていただけると幸いです。
また、何か疑問点やお悩み等ございましたらお気軽に当ホームページの 【無料相談】 からご連絡ください。
ブログでの回答もできたらと考えていますので、是非是非ご利用ください!!
他、日本庭園に興味のある方は【施工事例】も是非覗いてみてください。
小森造園へお問い合わせ
長野市、須坂市、小布施町、中野市、飯山市、千曲市、上田市、
軽井沢町、佐久市、御代田町を中心に全国どこでも対応します。
(定休日:日曜日) 造園の見積りをしたい