2023.05.23
小森造園の「目指すシリーズ」〜第二段 環境作りとは〜
前回の
では、小森造園が庭作り=環境作りと捉え、造園を行っていると書きました。
今回はその「環境作り」がどういったものなのかを具体的に、イメージしやすいように説明していきたいと思います。
前回、人が癒される空間=里山の雑木林のような空間 と書きました。
正直これは人によって≠になることもありますが、要は
・木陰があり
・適度に湿度が保たれ
・ジメジメせずに水捌けがよく
・風通しの良い空間
というわけです。
それが里山の雑木林の空間に近いというわけですが、これはどういった要因が重なり、心地よい空間となるのでしょうか?
まず、第一条件として「土中環境の充実性」にあります。
充実した土中環境は
(1)有機物に富む
(2)生物の多様性がある
(3)水と空気の流れがある
こういった要素が充実しています。
この環境に+樹木が生えることで木陰ができ、風通しの良い空間となります。
(1)の有機物に富む、ですが、こちらは微生物も植物も養分を必要としますから当然大切な要素です。
ただ有機物といっても分子の低い糖分やアミノ酸の状態がたくさんあることが良いとは言えません。
分子の低い状態で養分が存在していてもすぐに土中内で代謝されてしまうので、養分が蓄積されることありません。
人もサプリメントのみで生きられないように、化学肥料だけでは土地は痩せてしまいます。
また、土中にいる生き物はみんながみんな、直接的な分解者ではありません。
誰かが分解して出した副産物をさらに分解し、それを続けていき分子は徐々に小さくなっていきます。
その過程で生産された有機物は土壌中に「腐植」として蓄積していき、団粒構造を作る原料となっていきます。
これが(2)の生物の多様性にも繋がり、充実した有機物によって土壌は団粒化が進み、ある程度の空隙(土と土の間の空間)を生むようになります。
この空隙ができることによって保水性、通気性が良くなり、(3)の水と空気の流れが生まれていくのです。
※土壌の団粒化についてはこちらのブログをご覧ください。
里山の雑木林の中ではこの工程が地表近くから形成されていきます。
なぜなら落ち葉が積もっていくからです。
降り積もった落ち葉は、それそのものが有機物であり、折り重なった葉と葉の間には隙間があり、空気も入りやすいです。
そして乾燥した落ち葉はよく水を吸収し、葉と葉の間にも水を保持します。
まさに(1)〜(3)の要素が満たされる条件を兼ね備えています。
すなわち雑木林の心地よさとは「落ち葉」の存在なしに語ることはできません。
これは庭での空間も同じことが言えます。
私がお庭作りをするときは一つの環境を作るつもりで造園を行います。
このとき、可能であれば土の表面は落ち葉で仕上げます。
落ち葉を厚く敷くことで庭土は団粒化が進み、また土が露出しないことで雑草が生えるのも抑制します。
雑木林に雑草は生えていませんからね。
さらに枯れた枝や少し切った枝葉であれば落ち葉の上に捨ててしまいます。目立ちませんから。
すなわち、「落ち葉」によってお庭のメンテナンスを減らすことができるのです。
ただ、風で飛んでいってしまう可能性があるので、落ち葉の上に藁を敷いたり、木くずを撒いたり、または頻繁に水をくれることで落ち葉内で菌糸を伸ばし、落ち葉同士を接着させて飛ばないようにします。
一昔前のお庭はよく草取りをし、落ち葉を片付け、土をむき出しにして綺麗に仕上げていましたが、それでは土中に有機物が蓄積することはなく、ただただ手間のかかるお庭=環境になってしまいます。
弊社の目指すお庭における「環境作り」とは心地よい空間作りにありますから、雑木林の中の環境を再現するとことにあります。
落ち葉は、雑木林の環境に近かづける重要なファクターでありながら、思いの外、軽んじられている存在であります。
次回は具体的にこの落ち葉を使ってどのように環境作りをしていくのか書きたいと思います。
第一弾を読みたい方はこちらからどうぞ
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