2024.06.17
小森造園の「目指すシリーズ」~第三弾 落ち葉による環境作り~
さあ、小森造園の「目指すシリーズ」も遅い歩みながら第三弾になりました!
今回は ~落ち葉による環境作り~ と題しまして、
・落ち葉の生き物への恩恵
・落ち葉を使った環境作り
ここらへんを書いていきたいと思います。
まず、前回の【小森造園の「目指すシリーズ」〜第二段 環境作りとは〜】では、小森造園の目指す環境とは里山の雑木林なんだと書きました。
【烏川渓谷】
里山の雑木林では地表に落ち葉が降り積もって良い影響を与えている、というのだったんですが、まずは落ち葉が環境・生き物に与える恩恵について説明したいと思います。
落ち葉は地表に積もっていく中で土中微生物に分解されていきます。
糖はエネルギーとして消費され、タンパク質は分解される過程で一部は腐植といわれる有機物として土中に蓄積されていきます。
腐植は微生物のエネルギー源になったり、小さな土中鉱物を接着したりします。
するとまとまりになった土の粒が団粒化し、団粒構造というものを土中に形成していきます。
前回でも書きましたが、この団粒構造が保水性、透水性、通気性を良くし、土中微生物の活動を活発化させます。
腐植があり、団粒構造があると土中微生物の活発化・多様化に繋がり、この環境を落ち葉が作ってくれています。
また、単に土中微生物というのは菌類や線虫だけでなく、落ち葉を食べる小さな昆虫も含まれますし、クワガタなどの虫の隠れ家にもなります。
落ち葉は小さな生き物にとってとても重要な要素というわけです。
【落ち葉内の菌糸】
他にも雨風などによる土壌侵食を防ぐ効果もあります。
雨が地面に直撃するのを防ぐのもありますが、団粒構造化して土壌を接着するので、そこも土壌侵食を防ぐ要素になります。
雨が降るたびに土が流れ出し、家の周りや玄関・入口、道路を汚してしまうのはこういった生き物の介入か少ない場合も考えられます。
落ち葉によって土を団粒化させ、流れにくくさせることで、住まいの環境を整えるのも重要なことです。
【落ち葉の利用法】
他の効用としては、庭木の根の免疫力を向上させるというのがあります。
落ち葉によって土壌の通気性・保水性・浸透性が向上し、生物の多様化が進むことで庭木の根の活力、免疫力ともに向上します。
どんなメカニズムで良くなるかは【腸内環境と土中環境】にて簡単に説明していますのでこちらもご参考に。
そしてもう一つ。お庭の管理によってよいことがあります。
それは落ち葉があることで草が生えにくくなるということです。
みなさんは里山に入ったことがありますか?
登山でもいいのですが、山の中は平地と違って草が生い茂っていませんよね?特に林の中は落ち葉が積もり、草の生え方は控えめなはずです。
これには二つの要因があります。一つは木の作る影です。影があることで光量が減り、草の成長を抑制します。
【木の作る影】
もう一つは落ち葉によって地表が露出していないことです。
落ち葉によって地表が露出されないことで草の種が発芽しにくく、また発芽しても積もった落ち葉が影となって成長が抑制されるからだと考えられます。
落ち葉のみで草の繁殖を抑えられるわけではないですが、落ち葉にはそういった効果もあります。
さて、次に庭作りにおける落ち葉の活用法について説明していきたいと思います。
一番シンプルなのは庭木の落ち葉を捨てずにそのままにしておくことが上記の環境を作る一歩になります。
お庭をどんな風に作るかによって変わっていきますから、苔を増やしたいのであれば落ち葉は片づける必要がありますが、できれば庭木の根元くらいには集めて敷いておいてほしいですね。
そうではなく、自然な感じに仕上げるのであれば地肌を露出しないように落ち葉を敷いておく必要があります。風で飛んでしまった落ち葉を片づけるときは、ゴミ袋に入れずにお庭の方へ返してあげるとよいです。
そして、落ち葉が足りないようであれば他から調達します。
現在の街づくりにおいては落ち葉というのは邪魔者扱いされていますから、公園や神社では片付け捨てられてしまいます。そういったところや、街路樹の落ち葉なんかもねらい目です。
そうして敷いた落ち葉は、風によって飛ばされてしまい、面倒なことになります。
なので、その解決方法ですが、
・木くずを撒く
・剪定した枝をそのまま置く、もしくは細かくして落ち葉のうえに敷く
・バイオネスト(枝を組んだ土手)や丸太などで飛ばないようにする
こんな対策が必要でしょう。
【落ち葉の上に木屑を撒いた様子】
木くずに関しては見た目も自然で、土にも還りやすいので一番おすすめです。弊社で作っておりますのでお気軽にお問合せください。
剪定した枝をそのまま置くのは一番イージーです。落ち葉や木くずを敷いたお庭では剪定枝をそのまま敷いておいても本当に目立たないので木くずが手に入らない人にはおすすめです。。
最後のバイオネストや丸太というのはお庭の縁に設置して外に飛んでいかないようにするための処置なので、前述した木くずや剪定枝と併用するのが良いでしょう。
【東京大学駒場キャンパス内のバイオネスト】
ただし、ホームセンターなどで売っている木の幹を砕いたウッドチップはおすすめできません。
なぜかというと分解されにくいからです。
幹の木質部を形成する大部分はリグニンといった難分解性の物質で、これを分解できるのは主にキノコ類であり、すなわち腐るのが遅く、軽くて平たいので、風が吹けば容易に飛ばされてしまいます。一番はウッドチップ同士が微生物の作用によって癒着しにくいので、土に接触していないウッドチップは簡単に風と水の力でどっかにいってしまいます。
環境作りに関しては「腐らないほうが良い」という概念はもはやなくした方が良いです。
落ち葉については他にもコンポスト等に集めて腐らし、腐葉土にすることで畑や庭木に使用するという手もありますから、こちらも環境作りに重要な手法ですね。
こんな感じで書いてきましたが、「第三弾 落ち葉による環境作り」いかがでしたでしょうか?
すこし難しい要素もありましたが、この環境作りで実践したいことは物質の循環なんです。
剪定した枝や葉というのは木が空気中の二酸化炭素を自らの骨格として“固体”として“固定”した結果です。
それを庭から出してしまうということは、本来大地に還元されるはずであった物質を取り出してしまうことになりますし、燃やしたりしてしまえば固定された炭素のほとんどは空気中に放たれ、土中に固定されることはありません。
弊社では公園等で集めた落ち葉を庭作りに使用し、お客様のお庭から出た剪定枝等は木くずにすることでそのお客様のお庭にまた還します。
土中環境を改善していくうえで有機物はとても重要な要素ですから、落ち葉として、木くずとしてお庭に還元していくことが持続可能な庭作りに繋がっていきます。
続く第四弾では、今後(将来)求められる庭作りについてお話ししたいと思います。
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