2026.07.26
信濃町での土中環境に配慮した家作り(前編)
信濃町にて、土中環境に配慮した家作りのお手伝いをさせていただきました。
当物件は信濃町を拠点に活動をされている設計士の野々山様の現場でございました。
この信濃町の現場は、住まいの環境だけでなく、人の住む土地全体の環境に配慮した家作りを目指すものでした。
私の方では、周りの環境を読み取り、それを考慮した環境作りのアドバイス、ポイント的な施工等を行いました。
お家の方は、最近では珍しい布基礎を採用しておりました。
近年ではほとんどの家の土台がベタ基礎で作られています。ベタ基礎ですと、土台下の土中環境が、家の外環境と断絶され、
空気と水の流れが悪くなり、家の外環境が悪くなりやすいという特徴があります。
詳しくはこちらをお読みください→【小森造園の目指すシリーズ〜第一弾 庭作り〜】
この現場で採用された布基礎であれば、家の中と外の土中環境が断絶されにくく、工夫によっては家下の土は呼吸ができ、外の環境とも繋がる可能性があります。
今回は野々山様にワークショップを開催していただき、布基礎内の土中環境の改善を行いました。
最初に、作業で使用する炭を作るために、弊社の無煙炭火器(φ150cm)を使って現地の伐採枝を燃焼させました。
主に杉の枝を使用しましたが、最初は葉も一緒に入れていたため煙がすごく、作業どころではありませんでした。
なので途中からは枝先を取り払い、枝のみを燃やすようにしました。
次に布基礎内の土中の改善作業を行います。
ます、ダブルスコップで縦穴を掘り、竹炭・燻炭を入れ、浅間の栗石を小端立て風に入れて穴を埋めていきました。
栗石の隙間にはワラを詰めます。

この縦穴は土中に空気と水の流れを起こし、微生物の住処としてあげるためのものです。
竹炭・燻炭を入れるのは、微生物の住む環境を提供してあげるためです。
浅間の栗石を用いたのは、多孔質で生き物が繁殖しやすく、水分を吸収して水はけをよくしてくれ、何より軽くて施工がしやすいためです。
今回のように人の手で穴に石を詰めていくときは重機が使えないので、栗石が軽いととても助かります。
今回は布基礎の底部にフーチングがあるため、場所によってはダブルスコップで掘れないところがありました。
そこで、カナテコと呼んでる金属棒で地面をグリグリしながら薫炭を注入しました。

弊社ではこれを炭柱と呼んでいます。
深さは、カナテコが刺されば40cmくらいでいいと思いますが、あんまり深く刺すとカナテコが抜けなくなってしまうので、
やりやすい深さで大丈夫です。
この方法は、水捌けが悪いところや、元気のない木の根本などにも有効です。
以上の作業が終わったら、全体に竹炭・薫炭をまき、ワラを敷いておしまいです。
ワラは厚く敷きすぎてしまうと腐敗してしまうので注意が必要ですが、竹炭薫炭はいくらまいても大丈夫です。

この後時間が少しあったので、基礎の外側にも似たような造作を行いました。
今回のワークショップでは主にこんな作業を進めて終わりとなりました。
家作りとは、人が快適に住まう環境を提供するものです。
だけど、今の家作りと昔の家作りでは少し意味合いが違っていたと思います。
一昔前までは家作りというのは人が住まう環境全体の整備だったのではないでしょうか。
水道がなかった時代、人は生きるために水を川や井戸、湧水から得ていました。
それは自然からの恵みであり、誰かが消毒して人が飲めるように加工されたものではありませんでした。
自らが生きるこの土地に負担をかけたり、なんの配慮工夫もなく生きることは自分の首を絞めることにつながりました。
だから昔の人はただ家を作るのでなく、環境を労わりながら、家の下を整備し、家の周りを整備し、
水、空気、微生物、これらが織りなす営みの、背中を押すような作業をしてきました。
今回の信濃町の現場は、そんな昔の生き方を現代に呼び起こすとても貴重な機会となりました。
私の作業は今回で終わりではなく、これからもうしばらく携わらせていただくこととなっております。
今後、何回かに分けてご報告ができればと思っております。
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